調査内容から選ぶ
地中レーダ探査対応の
建設コンサルティング会社
地中レーダとは
電磁波の跳ね返りを利用して
埋設物を計測
地中レーダとは電磁波を利用して地中の構造を把握する探査方法です。
電磁波(パルス波)を地表から地中に向けて放射した際、地中の電気的性質が変化する部分が電磁波の反射面となります。この反射面からの反射波が地表に返ってきます。
この反射波をレーダが捉えることにより、電波を発射してから反射波が戻ってくるまでの往復時間と電波照射方向から目標物の位置を把握、また反射波の強さから目標物の形状や速度を知ることが可能。 そうすることで、地下浅部の地盤構造や空洞、埋設物などを非破壊的に探査することができます。
実際の計測データ
地中レーダは発射する電磁波は、地面に対して縦方向に照射を行います。それにより、電波の跳ね返りにかかる時間、深度などから計測箇所における異常箇所が出力されます。
発射方向は変えられませんが、地中レーダ本体を移動させながら計測すると、レーダ装置の送受信アンテナと埋設物までの距離が変化。この変化がレーダの波形として捉えられ、位置や形状まで把握することができる仕組みとなっています。
地中レーダは基本的な仕組みは同じでも、製品により性能や用途が異なります。
より効率的に地中探査を行うためには、これらの違いをしっかり理解した上で目的に応じた地中レーダ装置を選ぶことが必要です。
調査内容に適した地中レーダを選ぶには?
押さえておきたい4つのポイント
地中レーダは形状から周波数帯、波形など、製品によってさまざまな種類が存在します。
もちろん、調査内容に適した地中レーダも異なるため、地中レーダ探査を依頼する前にしっかり性能を理解しておくことで、効率的に調査を実施することが可能です。
ここでは、注目すべきポイントを4つに分けそれぞれ詳しく解説していきます。
①形状
地中レーダは様々な形状があり、計測距離や道路幅によって適した形状があります。
ここでは、各形状の特徴について紹介します。
車載式
車両に地中レーダを搭載し、移動するタイプの地中レーダです。別車両に載せて牽引するタイプもこれに属します。
車両が通れる広い道路や橋梁などで利用され、路面下空洞探査や埋設管探査、河川・地質調など広範囲探査に適しています。
一般自動車と同様の速度で計測できるため、道路規制の必要がなく、効率的に計測することが可能です。
ハンディ式
簡単に持ち運びができる小型の地中レーダです。車両進入が困難な箇所やコンクリート内部の埋設物や空洞の探査、電気配線調査など、短距離計測で使用されます。
ハンディ式は手持ちで計測したり、カートに搭載して牽引するなど、計測場所に応じて使用方法を変えることが可能です。
短距離計測であればハンディ式レーダが効率的。車載式に比べて調査費用を抑えることができます。
②周波数
地中レーダは製品によって、周波数が異なります。
周波数の違いは計測可能深度に大きく影響するため、ここでは仕組みについて解説します。
周波数の違いは波長の長さ
周波数の違いは波長の違い、つまり振動の速さの違いです。周波数とは、電気振動などの現象が1秒間に繰り返す波の数のこと。例えば50Hzなら1秒間に50回波が発生します。
つまり、波長が短いほど高周波で飛距離が短く、波長が長いほど低周波で飛距離が長くなります。
高周波数
メリット
周波数が高いほど細かな波長となるため、データを精密に計測できる分解能が大きくなります。
デメリット
高周波の電波は波長が短いため、電波の減衰量も大きくなります。そのため深深度まで電波が届かず、減衰してしまう特徴を持っています。
低周波数
メリット
周波数が低いほど波長が長いため、減衰量が小さく、遠くまで届く性質を持っています。そのため深深度まで電波が届く特徴があります。
デメリット
波長が長い分電波の分解能が低いため、データを精密に計測することができません。浅深度帯にある物質や小さな埋設物を検知しない可能性があります。
計測深度が影響するのは周波数だけじゃない?主な材料の比誘電率
上記では周波数の違いによる計測可能深度の違いを説明しましたが、計測深度に影響があるのは周波数だけではありません。
地面の材料によっても比誘電率が異なり、計測深度に影響が出ます。以下の表は、地中に含まれる代表的な材料の比誘電率をまとめたものです。
材料名 | 比誘電率 | 比抵抗(Ωm) | 備考 |
---|---|---|---|
アスファルト | 4.5~9 | 数 1000~数 10000 | 材質、含水条件に よって変化 |
コンクリート | 5~7 | 50~200 | 同上 |
砕石 | 7.5~18 | 10~数 1000 | 種別、含水条件に よって変化 |
土砂 | 10~36 | 20~数1000 | 同上 |
空気 | 1 | ≒∞ | - |
③チャンネル数
地中レーダは、送受信センサーが1対になっているシングルチャンネルと、複数センサーが搭載されているマルチチャンネルが存在します。
ここでは、それぞれがどのような特徴を持つのかを解説します。シングルチャンネル
電磁波の送信と受信センサーが一対になっているアンテナ方式です。位置をしぼって一直線を計測するため、歩道や狭所での探査に適しておりシャープに計測することが可能です。一方、計測幅が広い場合は複数往復が必要となります。
ハンディ型などの小型の地中レーダに用いられ、2次元断面を取得することが可能。比較的低価格なため、短距離計測や埋設物が大きく、複数往復の必要性がない場合はコスト削減につながります。
マルチチャンネル
複数の送信と受信センサーが配置されているアンテナ方式です。等間隔に配置した各測定点でデータを収録できることから、一度の走行で広い幅を計測することが可能です。
さらにシングルチャンネルと比較してデータ密度が高いため、3次元断面の計測が可能。地中レーダの性能上解析しづらいとされる、進行方向に通った埋設管なども見落とすことなく計測できます。
長距離を計測する際や、埋設物が小さく、高密度での計測が必要な場合に適しています。
チャンネル数の違いまとめ
- シングルチャンネル・・・短距離計測や埋設物が大きく、複数走行の必要がない場合はコスト削減につながる。
- マルチチャンネル・・・長距離計測や埋設物が小さく、高い密度での計測が必要な場合は、1度の計測で効率的に計測できる。
④レーダ出力方式
地中レーダは製品によって出力方式が異なります。多くの地中レーダは無変調を採用していますが、無変調の弱点をカバーし、より効率的に調査を実施するため、出力方式を変更した製品も存在します。
ここでは、主に日本で採用されている出力方式について解説します。
無変調
変調をかけないインパルス型の送信波を放射する方式です。
等間隔で出力できるためシャープなデータが取得可能ですが、減衰量が大きく、深深度計測には適さない傾向にあります。
チャープ
チャープ信号とは、受信時に信号を圧縮してデータを取得します。無変調の弱点である減衰量の大きさをカバーするために開発された技術のため、減衰量が小さく深くまで計測可能。
パルス幅を圧縮して受信するため、データが粗くなる傾向にあります。
ステップ周波数
瞬時に複数の周波数帯を出力する仕組みです。幅広い周波数を送信することにより、一度にさまざまな深度を計測することが可能。
埋設物を見落とす可能性を軽減します。一方周波数の分散により、深深度に到達する前に電波が減衰する傾向にあります。
結論:
地中レーダ探査は
調査内容に適した
製品を選ぶ
形状・周波数・チャンネル数・レーダ出力方式の4つのポイントについて理解できたかな?
これら4つの要素を組み合わせに応じて、調査ごとに適した地中レーダが変わるんだ。
例えば地中レーダを用いた探査には、路面下空洞調査や埋設管調査・遺跡調査などがあるけど、計測距離や深度、埋設物の大きさも全然違うよね。 どんな調査を実施したいのか、計測距離や埋設物の深度はどのぐらいなのかを把握したうえで調査を依頼すると、工数やコストを抑えられるよ。
このサイトでは、調査内容に適した製品を保有する建設コンサルティング会社を紹介しているから、下記リンクからぜひ確認してみてね。
地中レーダ探査に対応している
建設コンサルティング会社一覧
2022年4月12日時点、Googleにて「地中レーダ探査」「路⾯下空洞調査」「舗装厚調査」「橋梁床版劣化調査」「埋設管調査」「防空壕調査」「遺跡探査」「地雷探査」「無電柱化⼯事に伴う事前調査」「トンネル覆工背面空洞調査」「シールドトンネル推進工事に伴う事前事後調査」と検索し、検索画面3ページ目までに出てきた会社を紹介しています。
カナン・
ジオリサーチ
カナン・ジオリサーチは、地中レーダ探査技術を世界に広めるため、自社専用の研究所を設立。地中レーダ開発から技術検証まで、社会インフラを支えるため日々技術開発を実施しています。
ジオ・サーチ
ジオ・サーチは、高い技術力とコスト管理で公共入札にも強い地中レーダ探査会社です。全国各地で、路面下空洞調査、橋梁床版劣化調査、舗装厚調査などの地中レーダ探査の実績があります。
川崎地質
川崎地質は、独自開発した車載式チャープ式地中レーダを使用。交通規制を受けない迅速な地中レーダ探査を実施し、安全・安心のインフラ整備に貢献しています。
千葉エンジ二アリング
千葉エンジ二アリングは、建設・土木分野の地中レーダ探査が専門の企業です。地盤工学研究所を設置し、博士号取得者や技術士などの専門家が多く所属しています。
大成ロテック
大成ロテックは、大成建設のグループ会社で1961年から社会インフラの整備のための探査が中心です。ISO9001(品質マネジメント)を取得し、顧客ニーズに対応できる地中探査を行っています。
大和探査技術
大和探査技術は、1979年創業の地中レーダ探査会社です。一般的な地中レーダ探査だけでなく、地雷探査などの特殊な地中レーダ探査にも対応しています。
東建ジオテック
東建ジオテックは、技術士などの地中の専門家が多く在籍している企業です。多様化・高度化する地中レーダ探査に対応し、高品質のサービスを提供しています。
越前屋試錐工業
越前屋試錐工業は、北海道を中心に地中レーダ探査を行っている企業です。1980年創業で、多くの社会インフラの整備に関する地中レーダ探査を行い、安全・安心に貢献しています。
地中エンジニアリング
地中エンジニアリングは、様々な用途に対応できる地中レーダ探査機器を保有し、土木・建設分野に係る地中レーダ探査の多くの実績があります。全国各地の地中レーダ探査に対応できます。
計測リサーチコンサルタント
計測リサーチコンサルタントは、高精度の地中レーダ探査を高品質なサービスとして提供しています。博士号取得者や技術士など、多数の専門家が所属し、様々な地中レーダ探査に対応できます。
ジオファイブ
ジオファイブは、走行車タイプ、カートタイプ、ハンディタイプなど、様々な地中レーダ探査機器を販売しています。また、使用頻度が低いユーザー向けにレンタルもしています。
レアックス
レアックスは、北海道を中心に高品質な地中レーダ探査を実施しています。災害復旧に地中レーダ探査を活用し、迅速に復旧することに強みを持ちます。また、防空壕調査や遺跡調査にも対応しています。
田中地質コンサルタント
田中地質コンサルタントは、複数の地中探査法を組み合わせて正確な地中レーダ探査をすることに強みを持ちます。その中でも文化財の保護を目的とした遺跡調査を得意としています。
アイコンサルタント
アイコンサルタントは、走行車による地中レーダ探査とハンディタイプの地中レーダ探査を北海道中心に行っています。安全管理を徹底し、社会インフラの整備に貢献しています。
ウエスコ
ウエスコは主に官公庁向けの建設コンサルタント。応用地質株式会社製の路面下空洞探査車やGSSI社製のカート型地中レーダなどを保有しています。
日レキ特殊工事
東京から関東の舗装や防水工事、産業廃棄物処理までを請け負い、様々なニーズに対応できる各種工法や自社開発の製品、舗装構成調査に適した車載式地中レーダ等を揃えています。
ティーアール・コンサルタント
1997年春に大手舗装会社である大成ロテックの技術者たちが、その豊富な経験を受け継いで「舗装調査」を主として立ち上げた建設コンサルタント会社で、国土交通省からも認められる技術力が特徴です。
東亜道路工業
道路舗装の大手企業で、環境への負担が少ないアスファルト乳剤の製造販売もしており、官公庁からの受注が多く受けています。3Dレーダ社の地中レーダやシステムを採用し、解析ソフトは自社開発しています。
児島技研
平成6年に倉敷で創業。ライフラインの維持管理を得意とし、産業廃棄物収集運搬業から建設業、測量、インフラ整備などに携わっており、状況に応じて地中レーダや鉄管ケーブル探知機などで非破壊調査しています。
田中測量設計事務所
官公庁発注業務から国内外の大規模工事まで実績があります。また地中レーダはGSSI社のアンテナ各種、カート、車載式や日本無線社のハンディスキャンなど調査内容に合わせて選べます。
テイコク
1954年創業の総合建設コンサルタント企業ですが、行政マネジメントや地産地消の製品開発まで事業を展開しています。車載式地中レーダの他、地下と地上情報を一元管理できるシステムも提供しています。
北開工営
北開工営は、多彩な社会インフラの整備や維持・管理を支えている建設コンサルタントです。 路面下空洞調査に対応しており、道路の路面下空洞を発見するための調査を行うことが可能となっています。
【PR】道路の⽼朽化問題の解決のために
開発された3Dレーダ式
地中レーダの活用レポート
道路の老朽化に伴う陥没事故の防止は日本の大きな課題。しかし、各地方自治体がインフラ管理に十分な予算をかけられず、補修工事に踏み切れないケースが発生しています。
そんな課題のために開発されたのが、GPR.comが開発した地中レーダ「GMS3 地中レーダ3次元モバイルマッピングシステム」です。本ページでは、実際にGMS3を導入して地中レーダ探査を実施している企業にその効果をインタビューしました。
地中探査を先伸ばしにすると
起こる事故
地下の埋設物や道路・橋梁に関連する事故が起きてしまうのは地中探査を行わず放置していたことが一因です。そこで事故の事例・原因と有効な対策方法についてご紹介します。
地中レーダ探査
(GPR探査)に関するQ&A
地中レーダメーカー一覧
JRCモビリティ(日本無線)
数々の国内外初の技術を生みだしてきた日本無線株式会社の通信機器事業・モビリティ分野を、日清紡ホールディングスが2018年に独立させました。主にハンディ式地中レーダを取り扱っています。
GSSI
世界を牽引するアメリカのGSSI社。特許技術ハイパースタッキングアンテナを採用したカート式探査機やクラックやジャンカも検出できるマルチ探査機などを豊富に取り扱っています。
Mala Geoscience
世界的に有名な地中レーダ探査機製造会社、スウェーデンのMala Geoscience社では、雪尺調査や環境、地質から路面調査や考古学調査まで対応可能な地中レーダを揃えています。
GEOSCANNERS
GEOSCANNERS社の製品は自由なカスタマイズができることが特徴。地中レーダのコントローラーAKULA9000Cは、自社製のアンテナ各種や一定規格の他社の製品とも接続可能です。
Sensors & Software
Sensors & Softwareは、1台で様々な地下探査に対応できるNOGGINの開発会社。簡単な操作とカスタマイズの自由度の高さが特徴です。
三井E&Sマシナリー
マルチパス技術で3D画像の解析が可能。業界を先駆け、最大10GHzの超広帯域周波数を使用した高精度型の地中レーダやトンネル検査車を用意しています。
ボッシュ
自動車を中心に家電などの電気機器を製造するドイツのボッシュ社。主にハンディ式地中レーダを取り扱っており、製品により配管や金属、非磁性金属、非鉄材、通電線、木材、通水樹脂管などを探知できます。
HILTI
HILTIは建築業者向けに、革新的な技術の工具やソフトウェア、サービスを提供しています。コンパクトながら高性能なコンクリートスキャナーなどのハンディ式地中レーダを扱っています。
RPS(Radar Portal Systems Pty Ltd)
オーストラリアにあるRPS社の地中レーダはアンテナ数も多く、牽引式で時速80kmでも調査が可能で、大規模な路面調査に特化しています。
IDS GeoRadar
IDS GeoRadarはイタリアのエンジニアリング・システムテクノロジー企業IDSのグループ会社。土木工学や保安などの製品を扱い、ハンディ式や車載式など幅広い地中レーダを提供しています。
Kontur(旧3D-RADAR)
2001年にノルウェー科学技術大学で発足した3D-Radar社が社名変更しています。幅広い企業で使用されており、目的に合わせて多彩なアンテナと組み合わせられます。
ポニー工業
ポニー工業は1965年に非破壊検査株式会社の放射線防護部門から独立。今日に至るまで放射線関連製品を主に超音波や渦電流、磁気などのさまざまな非破壊検査技術、計測機器の開発、製造、販売に携わってきました。
KANSOテクノス
関西電力グループに属し、環境、土木、建築分野を統合した総合環境エンジニアリング企業です。車載式三次元路面下診断システムやハンディ式・カート式のFDEM探査機を保有しています。
高千穂産業
高千穂産業は通信・電力業界を中心に有害ガス検知器や埋設ケーブル位置測定器などを製造・販売しています。地中レーダの他、誤切断防止対策としても有効です。
NTEC
NTECでは、地中埋設管内に画像センサを装着した測定器を用いた管路線形計測システムでの調査を実施しています。ほかにも、電磁波レーダ調査、超音波調査などを行っています。
Earth Radar
オーストラリアのEarth Radar社では、3D地中レーダ用のソフトウェア開発を行っています。符号化方式でノイズが少ないマルチチャンネル・スキッド型3D GPRシステムLatroを開発しています。
エフティーエス
エフティーエスで扱っている「オペラデュオ uNext」は、地下埋設管探査機の世界的企業IDS GeoRadar社の製品。コンパクトな上検出精度や計測データの品質が非常に高い探査機です。
周波数の違いまとめ