埋設管調査
地中レーダ法を主体とした埋設管調査を解説しているページです。
ここでは、埋設管調査に求められる条件、具体的な調査の流れ、そして実際の事例を掲載しています。
また、レーダを用いて調査できる会社も紹介しているので、効率的で安全なインフラ整備にお役立てください。
埋設管調査とは
埋設管調査とは、道路や敷地内に埋設された電気管、水道管、ガス管などの位置を正確に把握するための手法です。
この調査により、工事中の事故や破損を防ぎ、インフラの安全性を確保することができます。調査では、地中レーダ法などの技術を使用し、非破壊的に地下の状態を確認します。その過程で、空洞やコンクリート片などの障害物も発見できます。
特に公共の道路下に埋設された管は、陥没事故やガス漏れなどの重大な事故の原因となる可能性があるため、定期的な調査が重要です。
家の敷地内だけでなく、道路や公共のインフラ全体にわたって安全を確保するために、埋設管調査は欠かせません。
適切な調査を行うことで、効率的で安全な施工計画を立てることができ、プロジェクトの成功と地域の安全を支えることにも繋がります。
調査・確認方法について
埋設管調査には、主に以下の4つの調査・確認方法があります。また、これらを組み合わせることで、よりインフラ管理の効率を向上させます。
| 調査方法 | 非破壊性 | 広範囲調査 | 正確な位置特定 | コスト |
|---|---|---|---|---|
| 地歴調査 | ◎ | ◎ | △ | 低 |
| 試掘調査 | × | △ | ◎ | 高 |
| ボーリング調査 | × | △ | ◎ | 中~高 |
| 地中レーダー調査 | ◎ | ◎ | ◎(条件依存) | 中 |
地歴調査
調査の初期段階として重要な手法。過去の地質データや地図、工事履歴、災害記録などを調べることで、対象地域の地質構造や過去の掘削状況を把握します。
これにより、潜在的な空洞や埋設管の位置を予測し、効率・効果的な調査計画を立てることができます。
具体例:古い住宅街で上下水道管の更新工事を行う場合
まず役所で昭和30年頃の地形図と平成10年の航空写真を取り寄せ、地形図に描かれた小川が埋立てられて住宅地になっていることを確認します。
次に、下水道台帳から昭和50年に木製管が深さ約1.2mで敷設された記録を参照し、周辺に住むお年寄りから「約30年前にガス管が移設された」という聞き取り情報を得て、掘削深さを最低1.5m確保し、ガス管は東西方向に5mほどずれる可能性があるとプランを修正します。
このように、書類上の記録と現地の歴史的情報を組み合わせることで、掘削前に埋設状況をおおよそ把握できます。
メリット
- 非破壊・低コスト:実際に掘削を行わずに情報を得られるため、現場への影響が少なく、コストも抑えられます。
- 広域情報の把握:対象地域全体の過去の工事や地質状況を知る上で基礎情報として有効です。
デメリット
- 情報の古さ:資料が古い場合、最新の状況と乖離がある可能性があります。
- 詳細な位置特定が難しい:概略的な位置は分かっても、実際の配管やケーブルの正確な位置、状態は把握できません。
試掘調査
特定の地点を実際に掘り起こして、地中の状況を目視で確認する手法。これにより、地中レーダや地歴調査で示唆された空洞や埋設管の正確な位置や状態を確認することができます。
具体例:住宅地の道路拡幅工事前に配水管を確認する場合
まず電磁探査で道路南側●m地点に管路の存在を予測し、その位置に50cm×50cmの試掘孔を手掘りで掘削。約40cm掘り進めたところで管径100mmの塩ビ管が深さ1.1mで露出し、周辺に土壌の空洞を発見したためミニユンボに切り替えて周囲を20cmずつ慎重に確認しました。
調査で得られた材質・深度・周囲状況を図面に反映し、本工事では安全を見込んで掘削深度を1.4m以上に設定できます。
メリット
- 直接確認:実際に掘り起こして確認するため、埋設物の存在や状態を正確に把握できます。
デメリット
- 破壊的で現場への影響大:掘削作業が必要なため、周囲のインフラに影響を与える恐れがあります。
- 高コスト・時間がかかる:作業のための人手や機材、復旧作業などが必要となり、費用や工期が増大します。
- 広範囲調査には不向き:限られた箇所の調査に適しており、広いエリアの全体像を把握するのは困難です。
ボーリング調査
地面に穴を掘り、地質や地下構造を直接確認する手法。専用の機械を使用して深さや直径を調整しながら掘削し、掘り出した土や岩石のサンプルを分析します。
ボーリング調査は、地中レーダや地歴調査で得られた情報を補完し、より詳細かつ正確なデータを得るための重要な方法です。
具体例:道路拡幅工事で老朽ガス管の確認が必要な場合
まず地歴調査で道路北側にガス管の可能性が高いことを把握し、電磁探査と試掘調査で深度約1.2mと見当をつけたうえで、幅員全体をカバーする3カ所に5m間隔でボーリング孔を設置。
回転式コアボーリングにより深さ2.0mまで掘削し、1.1m付近でφ50mmの鋼管コアを採取するとともにN値25以上の堅固な地盤を確認したため崩壊リスクは低く、地下水の湧出もほとんど認められませんでした。
これらのボーリングログを基に、本工事の掘削深度を1.3m以上、ガス管とのクリアランスを50cm以上確保する計画を正式に決定できます。
メリット
- 詳細な地質情報:土の性質や層構造、含有する物質など、科学的なデータが得られるため、埋設物の周辺環境を詳細に評価できます。
デメリット
- 局所的な情報に限られる:調査箇所が点ごとになるため、広範囲の情報を網羅するには多くのボーリングが必要です。
- 侵襲的:掘削による現場への影響が避けられず、後処理が必要な場合があります。
地中レーダ調査
埋設管調査において、地中レーダ調査は非常に有効な非破壊検査手法です。電磁波を地中に向けて発射し、その反射波を解析することで、地下の電気管、水道管、ガス管の位置や状態を把握します。
土地を掘り起こす必要がないため、迅速かつ効率的であり、精度の高いデータを得ることができるほか、広範囲のエリアを短時間で調査することも可能です。
さらに、他の調査手法と併用することで、インフラの安全性をより確実に確保することもできます。
具体例:公園内の老朽給水管探査
まず地歴調査で昭和40年代の配管の可能性が高いと把握し、600MHzのプローブを選んで遊歩道上に10m×10mの縦横グリッドを設定します。
プローブをグリッドに沿って押し引きしながら反射波を収集・解析すると、遊歩道脇の交点付近で深さ約1.2mに強い反射帯が検出され、断面図からφ50mmの金属管と砂質土層が確認できるため、この地点を試掘調査のポイントに絞り込み、手掘りで給水管を露出。材質や接続部の状態を確かめた後、安全に本格工事へ移行します。
メリット
- 非破壊・迅速:実際に地面を掘削する必要がなく、広い範囲を短時間で調査できます。
- 高精度な位置特定:反射波の解析により、埋設物の形状、深度、状態を細かく把握できるため、施工時の安全対策に役立ちます。
- 地上データとの統合:オルソ画像やGPSデータと連携することで、地下と地上の情報を一体的に確認でき、施工ミスを防止する効果があります。
デメリット
- 土質条件の影響:地下の水分量や土壌の種類、含有物質によっては、電磁波の伝播や反射が影響を受け、検出精度が低下することがあります。
- 専門知識が必要:データの解析には専門的な技術と経験が求められ、結果の解釈が難しい場合もあります。
- 検出限界:調査対象の材質や形状、埋設深度によっては、すべての埋設物を検出できない可能性があります。
地中レーダーの優れている点
1. 非破壊調査で安全かつ環境負荷が低い
地中レーダーは、道路や地面を掘らずに地中の配管や構造物の位置を調べられる、いわば「地面の中が透けて見えるレントゲン」のような技術です。
たとえば、建物の近くや歩道、アスファルトの下など、簡単に掘ることができない場所でも、レーダーを滑らせるだけで中を調査できるので、周囲にダメージを与えずに作業ができます。これにより、施工現場の安全性が高まり、地面を壊してみないと分からないという“ぶっつけ本番”の不安も解消されます。
2. 高精度なデータ取得
地中レーダーは、電磁波を地面に向けて発信し、その反射波をキャッチすることで、地下の様子をグラフや画像として表示します。これにより、たとえば「ここに直径10cmの配管が、深さ60cmくらいのところに通っている」という情報まで把握できます。
しかも、1回のスキャンで連続的なデータが取れるため、配管がどの方向に伸びているか、どこで曲がっているかといった配管の“流れ”まで見える化されるのが特長です。
3. 配管以外の埋設物も把握できる
金属製の水道管はもちろん、プラスチックやコンクリートでできた配管、地中の空洞やガレキなど、さまざまな“埋まっているもの”を見つけることができます。
たとえば、古い建物の跡地や、昔の造成地などでは、図面に載っていない「未知の構造物」が地中に残っていることがあります。地中レーダーなら、目には見えないそうした埋設物も、事前に察知できるため、事故や施工ミスの防止にも役立ちます。
4. デジタル記録と報告が容易
調査結果はパソコン上で扱えるデジタルデータとして記録されます。調査後には、地中の配管位置を線で表した図面や、スキャン画像のレポートが作成できるため、現場の図面との照らし合わせもスムーズです。
さらに最近では、AIが画像を解析して配管を自動検出する機能も進化しており、専門技術がなくても扱いやすくなってきています。
現場での報告や、関係者との共有にも便利で、調査から施工までの流れがよりスムーズになります。
埋設管調査の流れ
- 大まかな位置確認
管理者の資料調査とインフラ事業者への問い合わせにより、地下の電気管、水道管、ガス管などの位置と配管配置を大まかに確認します。 - 沿道の方々への周知
埋設管調査の実施を沿道の方々に周知します。宅内調査が必要な場合、訪問予定日と時間を記載した案内PR用紙を配布し、住民の協力を得ます。 - 地下埋設物調査(試験掘)/埋戻し
道路を部分的に掘り、水道管やガス管などの埋設物の位置と深さを確認します。調査後は掘削部分を埋め戻し、元の状態に復元します。
上記のように、埋設管調査では専門知識が必要なため、対応している建設コンサルティング会社に依頼しましょう。
埋設管調査も依頼できる
地中レーダー探査会社3選
国内で地中レーダを用いた様々なを調査を請け負うメーカーや業者の中で、調査ごとに特徴を持つ3つの会社をご紹介。
依頼先をご検討中の方は、ぜひ一度相談してみましょう。
定期調査が得意
https://canaan-geo.jp/service/
地下と地上を同時に調査し、
扱いやすい3Dデータを出力
評価試験が得意
https://www.fts-web.jp/product/?id=1635833207-530730
地盤から構造物に至るまで
様々な検査対象に対応
地質調査が得意
https://service.dksiken.co.jp/blog/17
測量・補強工事・住民説明など
現場を丁寧にサポート
おすすめの調査会社3選を詳しく紹介
カナン・ジオリサーチ
定期調査が得意

https://canaan-geo.jp/service/
カナン・ジオリサーチの特徴
的確かつ迅速な
位置特定が可能
カナン・ジオリサーチは、自社開発した地中レーダ「GMS3 地中レーダ3次元モバイルマッピングシステム」を保有。地下2mまでの埋設管を3Dで検出可能な3次元地中レーダシステムと、地上が全方位確認可能なモバイルマッピングシステムを、GPS時刻で同期させながら探査を行います。
四方に曲がった埋設管でも、3次元計測により見落としなく計測が可能です。さらに、同時に地上の状況をオルソ画像にて確認できるため、施工時の埋設管の位置把握に大変役立ちます。
地上計測はカメラのみのため、余計なコストがかからないこともメリットです。コストを抑えつつ、工事を効率化することが可能です。
地中と地上のデータを同時に
閲覧して施工ミスを防ぐ
カナン・ジオリサーチは、自社で開発した地中レーダ「GMS3」の専用GISソフト「GMS3ビューア」を保有しています。取得した地下情報と地上のオルソ画像を1画面で同時に閲覧できるため、常に埋設管直上の状況を確認することが可能です。
特にガス管などは比較的浅深度帯に通っており、掘削場所を誤るとガス漏れなどの重大な事故に繋がることも考えなければなりません。「GMS3ビューア」が正しい位置を把握できることで、施工ミスの防止に繋がります。
カナン・ジオリサーチの保有設備例
(トラックタイプ)

- 形状
- 車載式
- 周波数
- 3GHz~200MHz
- チャンネル数
- マルチチャンネル
- レーダ出⼒⽅式
- ステップ周波数
- 探査可能幅
- 2.1m程度
(複数走行により網羅) - 探査可能速度
- 80km/h
(車載タイプ)

- 形状
- 車載式
- 周波数
- 3GHz~200MHz
- チャンネル数
- マルチチャンネル
- レーダ出⼒⽅式
- ステップ周波数
- 探査可能幅
- 1.6m
(複数走行により網羅) - 探査可能速度
- 80km/h
(軽自動車タイプ)

- 形状
- 車載式
- 周波数
- 3GHz~200MHz
- チャンネル数
- マルチチャンネル
- レーダ出⼒⽅式
- ステップ周波数
- 探査可能幅
- 0.9m
(複数走行により網羅) - 探査可能速度
- 80km/h
(カートタイプ)

- 形状
- カート式
- 周波数
- 3GHz~200MHz
- チャンネル数
- マルチチャンネル
- レーダ出⼒⽅式
- ステップ周波数
- 探査可能幅
- 0.9m
(複数走行により網羅) - 探査可能速度
- 記載なし
カナン・ジオリサーチの会社情報
| 所在地 | 愛媛県松山市今在家二丁目1番4号 |
|---|---|
| 受付時間/定休日 | 9:00〜18:00/土曜・日曜・祝日 |
| 電話番号 | 089-993-6711 |
| 公式HP URL | https://canaan-geo.jp |
エフティーエス
評価試験が得意

https://www.fts-web.jp/product/?id=1635833207-530730
エフティーエスの特徴
安全性向上と環境改善を推進する企業
国内では精密測定器や非破壊検査機器を提供し、インフラ整備やメンテナンスに貢献しています。 特に、山岳トンネル向けの「コンクリート吹付け機遠隔操作システム(ヘラクレス-Remote)」の開発による、安全性向上や環境改善に取り組んでいます。 海外では、東南アジアを中心に事業を展開し、各国のインフラプロジェクトに参画し、国際的な信頼を築いています。
多岐にわたる製品展開と検査
電磁波レーダ技術を活用したインフラ探査において、多岐にわたる製品を提供しています。特に「Stream C(ストリームC)」は、32チャンネルのアレイアンテナを装備し、高密度・高精度なデータが取得できる埋設配管自動検出システムです。
下水道管、ガス管、電線管などの位置をリアルタイムで高精度に可視化し、3Dマッピングデータを一度の測定で得ることができます。
また、探査は従来の1/3の時間で行えるため、作業時間の短縮にも繋がります。
エフティーエスの保有設備例
Stream C(ストリームC)
画像引用元:エフティーエス株式会社公式HP(https://www.fts-web.jp/product/?id=1603345138-563582)
- 形状
- 車載型
- 周波数
- 600MHz
- チャンネル数
- 32ch(23VV-9HH)
- レーダ出力方式
- 記載なし
- 探査可能幅
- 96cm
- 探査可能速度
- 6Km/h
Stream UP(ストリームUP)
画像引用元:エフティーエス株式会社公式HP(https://www.fts-web.jp/product/?id=1635832978-279119&bak_flg=1 )
- 形状
- 車載型
- 周波数
- 記載なし
- チャンネル数
- 記載なし
- レーダ出力方式
- 記載なし
- 探査可能幅
- 記載なし
- 探査可能速度
- 記載なし
Stream UP(ストリームUP)
画像引用元:エフティーエス株式会社公式HP(https://www.fts-web.jp/product/?id=1603358575-592999)
- 形状
- 記載なし
- 周波数
- 25MHz~3.0GHz
- チャンネル数
- 記載なし
- レーダ出力方式
- 記載なし
- 探査可能幅
- 記載なし
- 探査可能速度
- 記載なし
エフティーエスの会社情報
| 所在地 | 【本社】東京都中央区日本橋小舟町8番1号 ヒューリック小舟町ビル7階 |
|---|---|
| 受付時間/定休日 | 公式HPに記載はありませんでした |
| 電話番号 | 026-293-5677 |
| 公式HP URL | https://www.fts-web.jp/ |
土木管理総合試験所
地質調査が得意

https://service.dksiken.co.jp/blog/17
土木管理総合試験所の特徴
災害対応と評価の専門家集団
土木構造物の品質管理と性能評価に特化した企業です。
地震や洪水などの自然災害後には迅速に現場調査と被害評価を行い、正確な被害状況の把握を通じて復旧計画の立案を支援。
さらに、災害予防のための耐震診断や地盤調査も実施し、インフラの安全性向上に貢献しています。これらのサービスにより、地盤調査、コンクリート試験、非破壊検査など、多岐にわたる分野で高い信頼性を提供しています。
ロードスキャンビークルでリアルタイム3D探査
地中レーダ探査技術を用いた埋設管探査に特化しています。
特に、高速移動型3D探査車「ロードスキャンビークル」は、走行中に路面下の空洞や埋設管をリアルタイムで三次元的に把握。周波数可変型アンテナを搭載した3-Dレーダシステムにより、幅2.1mの地中を一度の走行で迅速にビジュアル化します。さらに、GNSSデータと連携することで、埋設管の正確な位置を把握し、道路陥没の予防やインフラ管理を強力に支援します。
土木管理総合試験所の保有設備例
ロードスキャンビークル

https://service.dksiken.co.jp/blog/31
- 形状
- 高速移動型3D探査車
- 周波数
- 記載なし
- チャンネル数
- 29
- レーダ出⼒⽅式
- 記載なし
- 探査可能幅
- 2100mm
- 探査可能速度
- 27~207 km/h
土木管理総合試験所の会社情報
| 所在地 | 長野本社 長野県千曲市雨宮2347-3 |
|---|---|
| 受付時間/定休日 | 平日8:30~17:30 |
| 電話番号 | 026-293-5677 |
| 公式HP URL | https://service.dksiken.co.jp/ |
埋設管調査に求められる条件
埋設管には鋼管やステンレス管、ポリエチレン管、塩ビ管などさまざまな種類があり、サイズもさまざまです。埋設深度は表層より1.5m〜50cm程度となるため、およそ400MHz〜2,000MHzの周波数帯をカバーしていれば探知可能です(地質により異なる)。
また、埋設管調査は計測距離や場所に応じて異なる形状の製品を使用することで効率的に計測することができます。
車載式からハンディ式まで、幅広い製品を持つ会社に依頼することをおすすめします。
埋設管調査の事例
地中レーダ探査の原理
地中レーダ探査に使用される機器は、測定本部やアンテナ、ケーブルです。調査方法は、地表から地中に向け電磁波を発信。地中の埋設物から反射する反射波を受診して、地下にうずめて設置している配管や構造物の位置を推定します。
調査の目的
調査目的は、広大な土地に埋設されている配管や構造物、異物片の分布状況を把握することです。通常使用されているアンテナの周波数は数十MHz~数GHzの範囲(※)とされており、探査対象や目的に合わせて選択します。ここでは、測定本部(SIR-3000)と400MHzアンテナを使用した結果を見ていきましょう。
※参照元:大和探査技術株式会社
(https://www.daiwatansa.co.jp/publics/index/37/#block94)
調査手順
地歴調査など、可能な限り過去にさかのぼって資料を集めます。資料をもとに地中レーダ探査システムで埋設物によって危険が及びそうな箇所を抽出。その後、抽出した箇所を含む数か所を重機で切り開き埋設物を確認します。測線は調査地で距離が長いほうの測線を2m間隔で主測線を設定。異常箇所や調査エリアの代表地点では主測線に垂直に交わるように副測線を設けました。
開削箇所として抽出した基準
地中レーダ探査記録において開削箇所として抽出した基準は、以下の通りです。
- 周囲と比べて明瞭に振幅が強い波形を観測
- 多重反射あり
- 上方向に凸形状の反射異常箇所あり
- 反射異常が認められない(反射が弱い)
※参照元:技術フォーラム
(https://www.zenchiren.or.jp/e-Forum/2013/PDF/2013-078.pdf)
地盤状況
埋設管調査を行った場所は、海岸部のすぐ近くであり、地下水位がおよそGL-1.7m に分布しています。地表面の状態は一部を除いて厚さ50mmくらいのアスファルトで覆われていること。そのすぐ下に厚さ150~200 mmほどの鉄やニッケル、クロムといった溶融物資「鉱滓(スラグ)」が敷き詰められていました。さらに下のおおよその地盤構成は GL-1.0m までは礫混じり土、1.0m下は原地盤にあたる粒径が整った比較的むらのない砂だったということです。地盤状況からどのような調査結果が出たのでしょう。
調査結果
地中レーダ探査記録で「29箇所」を開削候補箇所として抽出。開削調査を実施した結果、埋設管や U 字溝構造物,コンクリート片など,複数種類の埋設物が,数か所の開削箇所から発見されました。確認された地下埋設物のうち,代表的なものは次の通りです。
- 開削箇所A:アスファルト 埋設物 深度 (かぶり) 0.95GL-m 埋設管 ヒューム管 (重圧管
- 開削箇所B:アスファルト 埋設物 深度 (かぶり) 0.70GL-m 異物片(コンクリートガラなど)
- 開削箇所C:アスファルト 埋設物 深度 (かぶり) 1.10GL-m 埋設管(塩ビ管)
- 開削箇所D:草地・土砂 埋設物 深度 (かぶり) 0.40GL-m 地下構造物 U字溝(水路)
- 開削箇所E:草地・土砂 埋設物 深度 (かぶり) 0.30GL-m 埋設管(塩ビ管)
※開削調査結果(代表点のみ)
埋設管調査を行わないことによる
事故事例
埋設管の位置をきちんと把握しないままに掘削工事を行って、水道管やガス管を破損してしまう事故が後を絶ちません。
生活インフラを破損することによる社会的影響は大きく、会社の信用も大きく傷付きます。実際に発生した事故の事例を、こちらでご紹介しています。
ガス管
爆発などの重大事故を引き起こしかねないガス管は、近接作業では特に注意が必要です。埋設物の変化点付近を試験堀で確認しないまま、重機で掘削したことによりガス管が損傷した事例があります。
ガス管の付近は重機を入れる前に手作業で掘る、インフラの台帳確認や試験堀を行うなど、埋設物の事前調査を慎重に行うようにしましょう。掘削する場所に「埋設物はないはず」だ、という思い込みから事故が発生するケースもあります。事前調査は慎重かつ確実に実施することが大切です。
水道管・下水道管
地下埋設物の事故で最も多いのが、水道管や下水道管の事故です。「近道行為」と呼ばれる、埋設物を現認しないまま施工を進めることによって起こる事故が多く、人為的なミスにより発生しやすい事故とも言えます。
コストや工期も大切ですが、安全を最優先するという考えのもと、埋設物に対する危機意識を高めることが重要です。台帳や試験堀などの確認作業を怠らない、安易な掘削はせず、埋設物の位置を必ず目視で確認してから行うなど、慎重に作業するようにしましょう。
電力ケーブル・通信ケーブル
電柱を建てるために削孔を行ったところ、複数の電気ケーブルを切断してしまったという事例があります。これにより近くの道路情報板が非表示になり、さらにはCCTVカメラや遠隔監視カメラが作動しなくなり、周囲にも大きな影響を与えてしまいました。埋設表示杭と配管の表示杭を間違えて、試堀を行わないまま削孔してしまったことが原因です。
埋設物の位置は作業者全員が目視で確認できるよう分かりやすく表示した上で、必ず試掘を経てから掘削を実施することが大切です。
【PR】インフラの老朽化問題の解決のために開発された
3Dレーダ式地中レーダの活用レポート


https://digital-construction.jp/news/81
道路の老朽化に伴う陥没事故の防止は日本の大きな課題となっています。補修工事時に配管の位置を正しく把握しないまま工事を進めると、重大な事故に繋がることも。
そんな課題のために開発されたのが、カナン・ジオリサーチが開発した地中レーダ「GMS3 地中レーダ3次元モバイルマッピングシステム」です。本ページでは、実際にGMS3を導入して地中レーダ探査を実施している企業にその効果をインタビューしました。
