路面下空洞調査
ここでは、路面下空洞調査の概要、具体的な調査の流れ、調査結果による空洞の判定方法について解説しています。
また、本ページでは、地中レーダを用いた路面下空洞調査の依頼先の選び方から、おすすめの会社まで、詳しく紹介しています。
適切な建設コンサルティング会社を見つけることで、プロジェクトの安全性と効率性向上に繋がります。
路面下空洞調査とは
路面下空洞調査とは、道路や家の敷地下に潜む空洞や障害物を発見するための重要な方法です。
この調査では、電気管、水道管、ガス管などの埋設管の位置を正確に把握することができ、これにより工事中の事故や破損を防げます。さらに、調査中に空洞やコンクリート片などの障害物の発見も可能です。
特に道路下の空洞は陥没事故の原因となり、重大な被害を引き起こす可能性があります。そのため、公共の道路でも定期的な空洞調査が非常に重要です。適切な調査を行うことで、インフラの安全性を確保し、安心して利用できる環境を整えることができます。
路面下空洞調査の流れ
一次調査
車道部の一次調査を行う場合には、まず地中レーダを搭載した道路調査車を使用。時速30〜45kmで走行しながら調査を実施し、スピーディーかつ広範囲に渡って調査を行います。
調査に使用する道路調査車には横方向に地中レーダが搭載されており、1回の走行で1車線分の調査を行えます。走行によって地中レーダのデータを取得し、空洞の可能性が考えられる異常信号を抽出して整理します。また、地中レーダのデータと連動した周囲の映像を取得して、空洞の発生している位置を道路管理図上で確認します。
二次調査(詳細調査)
一次調査で得られた異常信号は、外部の専門家を交えた判定会議で二次調査の必要性を検討します。この会議では、「個別空洞情報」「空洞履歴」「舗装構成」「地下埋設物」「地下水」「交通量」などの情報を総合的に検討します。
二次調査が必要と判断された場合、まずハンディ型レーダによる調査が行われます。この調査では、空洞の可能性や位置、広がりを手押し式の機械で地中レーダデータを取得して判定します。
ハンディ型レーダのデータを基に、さらにスコープ調査を実施するかどうかを判断します。スコープ調査では、削孔してスコープを挿入し、削孔断面を撮影して空洞の厚さと深度を確認します。
二次調査を通じて、一次調査では難しい横断方向や斜め方向の地中レーダデータを取得し、空洞の発見に繋げます。
路面下空洞調査も依頼できる
地中レーダー探査会社3選
国内で地中レーダを用いた様々なを調査を請け負うメーカーや業者の中で、調査ごとに特徴を持つ3つの会社をご紹介。 依頼先をご検討中の方は、ぜひ一度相談してみましょう。
定期調査が得意
地下と地上を同時に調査し、
扱いやすい3Dデータを出力
地質調査が得意
測量・補強工事・住民説明など
現場を丁寧にサポート
おすすめの調査会社3選を詳しく紹介
カナン・ジオリサーチ
定期調査が得意
カナン・ジオリサーチの特徴
空洞発生箇所の位置特定に
おける工数削減が可能
カナン・ジオリサーチは、自社開発した地中レーダ「GMS3 地中レーダ3次元モバイルマッピングシステム」を保有。地下2mまでの空洞を3Dで検出可能な3次元地中レーダシステムと、地上が全方位確認可能なモバイルマッピングシステムを、GPS時刻で同期させながら探査を行います。
地中で空洞が検出された際、同時に地上の状況をオルソ画像にて確認が可能なため、場所の特定における工数が大幅に削減され、後の補修工事を大幅に時間短縮します。それにより、交通規制の時間も短縮されるなど、工数・コスト削減につながります。
国交省と共に地中レーダ探査
の
技術検証を実施
カナン・ジオリサーチは、社会インフラの適切な管理を推進すべく、国土交通省が先導して立ち上げた「インフラメンテナンス国民会議」の設立時からのメンバーとなっています。
自社専用の技術研究所を設け、国交省とともに路面下空洞調査の精度向上に向け、実証実験を実施。自社で調査業務を請け負うだけでなく、経験の中で培った技術を多くの建設コンサルティング会社へ広める活動を行っています。
自社開発した地中レーダ「GMS3」も、実証実験の中で課題となった空洞位置特定の時間短縮解決するために開発された製品です。
地方自治体が抱える道路管理問題を解決すべく、日々技術研鑽に励んでいます。
カナン・ジオリサーチの保有設備例
(トラックタイプ)
- 形状
- 車載式
- 周波数
- 3GHz~200MHz
- チャンネル数
- マルチチャンネル
- レーダ出⼒⽅式
- ステップ周波数
- 探査可能幅
- 2.1m程度
(複数走行により網羅) - 探査可能速度
- 80km/h
(車載タイプ)
- 形状
- 車載式
- 周波数
- 3GHz~200MHz
- チャンネル数
- マルチチャンネル
- レーダ出⼒⽅式
- ステップ周波数
- 探査可能幅
- 1.6m
(複数走行により網羅) - 探査可能速度
- 80km/h
(軽自動車タイプ)
- 形状
- 車載式
- 周波数
- 3GHz~200MHz
- チャンネル数
- マルチチャンネル
- レーダ出⼒⽅式
- ステップ周波数
- 探査可能幅
- 0.9m
(複数走行により網羅) - 探査可能速度
- 80km/h
(カートタイプ)
- 形状
- カート式
- 周波数
- 3GHz~200MHz
- チャンネル数
- マルチチャンネル
- レーダ出⼒⽅式
- ステップ周波数
- 探査可能幅
- 0.9m
(複数走行により網羅) - 探査可能速度
- 記載なし
カナン・ジオリサーチの会社情報
所在地 | 愛媛県松山市今在家二丁目1番4号 |
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受付時間/定休日 | 9:00〜18:00/土曜・日曜・祝日 |
電話番号 | 089-993-6711 |
公式HP URL | https://canaan-geo.jp |
エフティーエス
評価試験が得意
エフティーエスの特徴
国内外で安全性向上や
環境改善に取り組む企業
国内外で幅広い実績を持つ企業です。
精密測定器や非破壊検査機器を提供し、インフラ整備やメンテナンスに貢献しています。特にトンネル施工機械においては、山岳トンネル向けの「コンクリート吹付け機遠隔操作システム(ヘラクレス-Remote)」を開発し、安全性向上や環境改善に取り組んでいます。
また、東南アジアを中心に海外でも事業展開し、各国のインフラプロジェクトに参画することで、国際的な信頼を築いています。
用途に合わせた製品提案
とレンタルサービス
電磁波レーダ技術を駆使した路面下空洞調査を得意とし、GP8800を使用することで、道路地下やコンクリート内部の空洞をリアルタイムで高精度に可視化。
また、用途に応じた製品提案やレンタルサービスも提供しています。
さらに、トンネル施工機械や精密測定機器、非破壊検査機器など、多岐にわたる検査を実施しています。
エフティーエスの保有設備例
GM8000
- 形状
- 車載型
- 周波数
- 高周波:500~3000 / 低周波: MHz 30~750 MHz
- チャンネル数
- 高周波:71 ( VV ) + 31 ( HH ) / 低周波: 23 ( VV )
- レーダ出⼒⽅式
- 記載なし
- 探査可能幅
- 高周波:1.75m / 低周波:1.67m
- 探査可能速度
- 高周波:27500スキャン / 秒 / 低周波:22000スキャン / 秒
Stream UP(ストリームUP)
- 形状
- 車載型
- 周波数
- 記載なし
- チャンネル数
- 記載なし
- レーダ出⼒⽅式
- 記載なし
- 探査可能幅
- 記載なし
- 探査可能速度
- 記載なし
GP8100
- 形状
- 車載型
- 周波数
- 400~4000 MHz
- チャンネル数
- 記載なし
- レーダ出⼒⽅式
- 記載なし
- 探査可能幅
- 25cm
- 探査可能速度
- 記載なし
エフティーエスの会社情報
所在地 | 【本社】東京都中央区日本橋小舟町8番1号 ヒューリック小舟町ビル7階 |
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受付時間/定休日 | 公式HPに記載はありませんでした |
電話番号 | 026-293-5677 |
公式HP URL | https://www.fts-web.jp/ |
土木管理総合試験所
地質調査が得意
土木管理総合試験所の特徴
災害後の迅速な対応と
評価のプロフェッショナル
土木構造物の品質管理と性能評価に特化しています。
地震や洪水などの自然災害後、迅速な現場調査と被害評価を行い、被害状況を正確に把握することで、復旧計画の立案を支援。
さらに、災害予防のための耐震診断や地盤調査も実施し、インフラの安全性向上に貢献している企業です。
GNSSデータと連携した路面下空洞調査と
リアルタイム3D探査
地中レーダ探査を用いて路面下の空洞や埋設物を検出し、道路陥没の発生を未然に防止します。
特に「ロードスキャンビークル」は、高速移動型3D探査車で、走行中に路面下の空洞や舗装劣化箇所を三次元で把握。周波数可変型アンテナを搭載した3-Dレーダシステムにより、幅2.1mの地中を一度の走行で高速にビジュアル化します。
土木管理総合試験所の保有設備例
ロードスキャンビークル
- 形状
- 高速移動型3D探査車
- 周波数
- 記載なし
- チャンネル数
- 29
- レーダ出⼒⽅式
- 記載なし
- 探査可能幅
- 2100mm
- 探査可能速度
- 27~207 km/h
土木管理総合試験所の会社情報
所在地 | 長野本社 長野県千曲市雨宮2347-3 |
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受付時間/定休日 | 平日8:30~17:30 |
電話番号 | 026-293-5677 |
公式HP URL | https://service.dksiken.co.jp/ |
路面下空洞調査に求められる条件
路面下空洞調査は一次調査で長距離の道路を効率的に計測する必要があるため、以下の条件を持つ地中レーダが望ましいとされています。
- 舗装直下から深度1.5メートルまでを計測できる能力があること
- 縦 50cm×横 50cm×厚さ 10cm 以上の空洞が検知できるもの
- レーダ記録を取得しながら40km/h程度で走行できること
- レーダ記録と同時に位置情報を記録可能であること
- 前方、左右の3方向の路面映像を取得できること
- 2.5mの道路幅を計測できる能力があること
空洞の判定方法
地中レーダ探査記録から空洞の可能性のある異常信号を抽出する際、空洞を判定する方法には以下の4項目があります。
- 極性
- 反射強度
- 独立性
- 形状
極性
送信機から発せられた電磁波は地中に伝播し、地中の物質から反射された電磁波が受信機に戻ってきます。
異常信号の上面から反射された最初の波(初動)は、通常の道路構造や地下埋設物とは異なる形状・深さ・位置関係を持っており、その特徴から空洞の可能性を判断します。
初動が正極性(初動が正の電荷を持っている)場合は、空洞の可能性が高いと考えられます。
反射強度
空洞は周囲よりも材質や密度が異なるため、周囲と比べて相対的に反射強度が大きくなります。
反射強度が大きいほど空洞の可能性が高くなるため、異常信号から空洞を抽出する際にはこの指標を重視します。
独立性
通常の道路構造や地下埋設物は、一定間隔で配置された材料や構造物であり、その形状や位置関係が一定です。
一方で、空洞は周囲と異なる材質や密度を持ち、その形状や位置関係も不規則。
そのため、空洞から反射された異常信号は周囲と比べて「独立」しており、道路縦断または横断方向に連続性が見られないことが多くあります。
形状
通常の道路構造や地下埋設物は、形状が平坦かつ規則的であり、反射波の形状もそれに従って比較的平坦な波形です。
しかし、空洞のような不規則な形状を持つ地下空間では、反射波が上に凸状の双曲線型になる傾向があります。
つまり、「形状」の指標は、空洞の判定において非常に重要な役割を果たします。
空洞の主な発生原因
路面下に空洞ができる原因としては、下記のようなものが挙げられています。
埋設管の老朽化による発生
路面下にある埋設管の老朽化などによる破損が、空洞が発生する原因のひとつです。埋設管が破損すると、その部分から土砂が吸い出されて空洞が発生します。その空洞の上にある土砂が落下し、さらにその土砂が吸い出されてしまうため、空洞は拡大していきます。
地下構造物の埋め戻し土が緩むことによる発生
構造物まわりの締め固めが不十分な場合、地盤に緩みが発生することがあります。この場合、圧着沈下が起こってしまうことで隙間が発生し、さらに隙間同士が結合し、最終的に空洞が発生します。
水みちがあることによる発生
構造物の躯体まわりに「水みち」がある場合にも空洞の発生原因になります。この場合、土砂が水みちによって吸い出されてしまうことによって空洞が発生します。
空洞が拡大する原因
東京大学 生産技術研究所の桑野氏が発表した「路面下空洞の実態と陥没対策」によると、空洞が拡大する要因として最も多いのが雨や地下水とのこと。その理由としては、路面陥没事件の月別発生件数をまとめた際に、雨の多い6月~8月にかけて陥没件数が多く発生しているため。また、近年頻発している豪雨災害も、道路陥没問題を加速化していると指摘しています。
雨や地下水のほかに考えられる空洞の拡大要因は地震です。新潟県で起こった中越地震前後のデータによると、平常時の空洞頻度が1kmあたり約0.5個だった場所が、震度5を超えたところで発生頻度が2~8倍増えたという結果も出ています。
また、熊本地震の後に、いつ陥没してもおかしくない陥没危険度ランクAの空洞の割合を調査した際、平常時は18%だったのが地震後は60%にまで上昇したことからも、地震の影響は非常に大きいと言えるでしょう。
路面下空洞の発生状況
全国の都道府県や自治体では、路面化空洞を原因とする道路陥没を未然に防ぐために路面化空洞調査が実施されています。
対象を「国・道・府・県」「東京都・政令市」「東京23区」「その他自治体」の4つの管理区分に定めて行われた2014年度・2015年度の調査結果によると、道路管理区分によって道路延長に対する空洞発生率に大きな違いがあることが明らかとなりました。
発生頻度が高かったのは、人口が密集していて複数の地下構造物や埋設物が分布する東京都・政令都市および東京23区です。これにより、地下構造物や地中埋設物の種類・数が路面化空洞の発生に影響していると考えられています。
空洞の発生件数と深度の関係
空洞の発生深度を見てみると0.3~0.59mが最も多く、特に深度0.6m以浅の空洞は全体の87%にも及び、大半が舗装直下に広く分布していることが明らかになっています。深度0.6m以浅における空洞の広がり・体積も、ともに最大値を示す結果となりました。
一方で、深度0.6mよりも深いところでの空洞の発生は相対的に少なく、発生規模も小さいという結果に。この現象は、空洞が深部から徐々に上昇して拡大するという実験結果とも整合しています。
地中レーダーが届きにくい深度の路面化空洞調査
空洞調査の方法において、最も広く用いられているのは地中レーダー調査です。ただし、地中レーダーの届く範囲には限界があり、深さ2m程度までの空洞が地中レーダー調査に適しているとされています。2m以深の地中レーダーが届きにくい深度の空洞調査については、地中レーダーでの検知が難しいため、表面探査や電気探査などの物理探査が必要です。
ただし、表面探査や電気探査などの物理探査を行ったとしても、小規模な空洞だと見つけられない可能性もあります。見つけたい空洞の深度が2m以深の場合、まずは探査が可能かどうか空洞調査に対応している業者に確認してみましょう。
【PR】道路の老朽化問題の解決のために開発された
3Dレーダ式地中レーダの活用レポート
道路の老朽化に伴う陥没事故の防止は日本の大きな課題。しかし、各地方自治体がインフラ管理に十分な予算をかけられず、補修工事に踏み切れないケースが発生しています。
そんな課題のために開発されたのが、カナン・ジオリサーチが開発した地中レーダ「GMS3 地中レーダ3次元モバイルマッピングシステム」です。本ページでは、実際にGMS3を導入して地中レーダ探査を実施している企業にその効果をインタビューしました。
路面下空洞調査の方法
路面下空洞調査は、通常1次検査と2次検査の計2回実施されます。 空洞発生の原因に基づいた調査計画が策定されると、一次調査が実施されます。一次調査は、車載型の地中レーダを使用した連続非破壊探査です(歩道の調査にはハンディタイプの地中レーダを使用)。
一次調査によって空洞が検出されると、空洞の規模や深度、生成要因や成長速度の評価を行い、地中レーダや削孔によって空洞を確認する二次調査を実施。 二次調査の状況に応じて、空洞の充填や、開削埋め戻しといった補修を行います。空洞の発生状況と補修の履歴は記録され、その後の道路保全に活用されます。