地雷探査
地雷探査の種類はさまざま
NPO法人テラ・ルネッサンスによると、世界には6,000万〜7,000万個もの地雷が埋設されています。ひとことに地雷といっても、対人地雷・対戦車地雷など360種類以上が存在し、材質や起爆法もさまざまです。探査方法には以下の種類があります。※
- 地中レーダや金属探知機を使う物理探査
- プロッターと呼ばれる指し棒を地面に差し込む調査
- 地雷探知犬による調査
- 重装甲車両にて調査と発掘を同時実施
ここでは、低リスクな非破壊調査である地中レーダによる調査について解説します。
地中レーダと金属探知器の複合利用
金属探知器
地雷探査における金属探知器とは、「電磁誘導法/渦流探傷検査技術」を利用しているハンドヘルドセンサの通称です。
地雷を検知するために設計されている金属探知器はその使用目的から高い精度が求められており、深度20cm程度に埋設されている地雷中に含まれる1g以下の金属でも水平位置精度1cm程度で検出する必要があります。
そういった事情から商用の金属探知器では10kHz程度かつ多周波数、もしくは過渡応答を利用して差動型の受信コイルを装着しています。
この金属探知器による埋設地雷検知は手動で地面すれすれに走査を行い作業するため、熟練を要するという課題もあります。
地中レーダ
地表から地中の状況を調べるためのレーダ検知機
最初から地中の深部を探知・調査できる目的で開発や研究が進められているものが地中探査レーダ(Ground Penetrating Radar:GPR)です。
地中レーダは地面を掘り起こすことなく、地表から地中に存在する様々なものを探知・発見するためのものであり、例えば金属パイプを検知するための装置として実用化がされています。
また地中レーダは平和目的での活用も目指されており、例えば紛争地などに放置されている地雷の検知の地中レーダを利用する計画や研究は世界的に進められているテーマです。
地雷検知レーダが実用困難な理由
道路の地下にあるパイプなどを調べる目的で広く活用されている地中レーダですが、一方で地雷検知を目的とした地中レーダは実用化が困難とされている点も無視できません。
地中レーダを地雷検知へ応用するのが難しいとされる理由として、例えば対象となる地雷のサイズが小さいだけでなく、兵器としての特性上、地雷が比較的浅い位置に埋められていることが挙げられます。地表面に近い場所に地雷がある場合、電波が地表面の反射波と紛れてしまって正確な検知が困難になります。
さらに土質や水分量など条件が様々で不均質な土壌では、ランダムな電波散乱(クラッタ)が発生しやすく、それが地雷からの反射波をカバーしてしまうことも問題です。
地雷検知用の地中レーダでは高周波・広帯域電磁波を利用
金属探知機に対して、地中レーダで使用される電波の周波数が高いこともポイントです。例えば金属探知機では10kHz程度であるのに対して、地中レーダでは1GHzという高周波電磁波パルスが利用されます。
電波は周波数が増えてその波長が短くなるほど、計測可能な地表からの距離(範囲)も小さくなりますが、地雷は比較的浅い位置に埋められているため高周波を使いやすくなります。
複合利用について
地雷探査における「金属探知器と地中レーダの複合利用」とは、金属探知器と地中レーダのそれぞれのメリットを活かし、お互いの苦手領域を補完し合うことでより精度の高い検知を行うことを指します。
金属探知器の特徴と地中レーダの特徴をそれぞれ組み合わせ、金属探知器によって数g程度という微細な金属までをすべて探知したうえでその探知した金属が地雷であるかどうかについて地中レーダを使用して識別するという使い方が地雷検知用センサにおける新たな基本思想となっています。
これを一般的に「デュアルセンサ」と呼び、我が国においては教育機関などにおいてもこのデュアルセンサの地雷検知装置の開発が行われています。
これらは国内での評価実験に加え、アフガニスタンやクロアチアをはじめとする地雷被災国での評価実験も実施されています。
地雷探査に求められる条件
地雷の埋設位置は地表から数十センチの中深度であるため、地中レーダによる探査では400MHz以上の周波数帯が用いられます。
地雷探知ロボットやドローンも、同様の周波数帯で探査を行います。地雷原は不整地であること、爆発に巻き込まれる危険があることから車載式レーダは使えないため、ハンディ式のレーダを使用することが望ましいとされています。
地中レーダと複合技術による地雷の探知イメージ
地中レーダと他の技術も併用した、複合技術による地雷のイメージングが研究されていることもポイントです。
その一例として、金属探知機の技術と地中レーダの技術を融合させて、金属探知機が検知した物体を地中レーダによって画像化し、専用端末のモニターで形状を視認するという国産地雷探知機「ALIS(エーリス)」がクロアチアやカンボジアといった地域で活用されています。
ALISはハンドヘルド型地雷センサであり、金属探知機が金属片の有無を検知し、地中レーダでその形状を視認することで、手元のモニターで地中に存在する対象物の形を調べることが可能です。これにより地雷の形状として一般的な円形形状が発見されれば、対象物が地雷である可能性が高まります。
【特徴別】地雷探査に対応する
建設コンサルティング会社2選
2022/4/20時点Googleにて「地中レーダ探査」「地雷探査」と検索して表示された会社のうち、地雷探査に対応していると公式HPに明記されている建設コンサルティング会社2社を調査しました。
松永ジオサーベイ
松永ジオサーベイの特徴
地盤と岩盤の調査を
専門的に手掛ける
松永ジオサーベイが専門的に手掛けるのは、地盤・岩盤の調査です。建設、土木、防災、環境、地下水、温泉といった分野で、ボーリング孔とその周辺の物理計測や、浅層物理探査サービスを行っています。
地震大国日本に於いて、地盤・岩盤特性調査を通して建物の耐震化に貢献したいという思いで、地盤や岩盤、地下水、インフラの調査を行なっています。
地中レーダ探査とファイバースコープを併用した高精度な調査
松永ジオサーベイでは、地中レーダと指向性ボアホールレーダによる物理探査が可能です。地中レーダ探査では、レーダ波形に異常が確認された箇所でファイバースコープを使った簡易掘削を行なっています。ファイバースコープによる確認結果を踏まえて、地中レーダのデータを再解析するという手法を採ることにより、精度の高いレポートを作成しています。
松永ジオサーベイの地雷探査事例
松永ジオサーベイの地中レーダ探査事例は公式HPに掲載がありませんでした。
松永ジオサーベイの保有製品例
- 形状
- ハンディ式
- 周波数
- 300MHz・800MHz
- チャンネル数
- 記載なし
- レーダ出⼒⽅式
- 電磁波レーダ方式(2周波内蔵)
- 探査可能幅
- 記載なし
- 探査可能速度
- 記載なし
松永ジオサーベイの会社情報
所在地 | 東京都品川区大井1-23-1 カクタビル2F |
---|---|
受付時間/定休日 | 公式HPに記載はありませんでした。 |
電話番号 | 03-3773-8411 |
公式HP URL | http://www.m-gs.co.jp/ |
ジオファイブ
ジオファイブの特徴
顧客の要望に迅速かつ的確に応える
ジオファイブは、地盤調査機器と非破壊検査機器を専門に取り扱う会社です。機器の販売やレンタルに加えて、現場での計測、顧客の要望に応じたシステム設計や製作にも対応しています。
同社には、地球物理、電子、機械の分野で豊富な経験と実績を持つスタッフが在籍しています。顧客の要望に「迅速に、的確に」対応することをモットーとする、トータルソリューションプロバイダーを目指しています。
地雷探知機と地中レーダ両方の機能を持つ自社製品を使用
ジオファイブが使用するGROUNDSHARK®は、地中レーダと金属探知機両方の機能を持つ地中埋設物探知機です。一般的な探知機は不審物を探知すると警報音を発しますが、GROUNDSHARK®は音と画像の両方で埋設物の存在を知らせてくれるため、その場で埋設物を視覚化できる特徴を持っています。
地中レーダを用いた地雷探査の弱点の一つに、荒れた地表面、木の根や石によるクラッタという阻害要因があります。地中レーダと金属探知機の複合型探知システムは、双方の弱点を補う次世代型の探知機として活用されています。
ジオファイブの地雷探査事例
ジオファイブの地中レーダ探査事例は公式HPに掲載がありませんでした。
ジオファイブの保有製品例
- 形状
- ハンディ式
- 周波数
- 5000MHz
- チャンネル数
- マルチチャンネル(2チャンネル)
- レーダ出⼒⽅式
- 記載なし
- 探査可能幅
- 記載なし
- 探査可能速度
- 記載なし
- 形状
- 車載式
- 周波数
- 200~3,000MHz
- チャンネル数
- マルチチャンネル
- レーダ出⼒⽅式
- ステップ周波数
- 探査可能幅
- 50~210cm
- 探査可能速度
- 記載なし
ジオファイブの会社情報
所在地 | 埼玉県さいたま市北区宮原町1-453-2 |
---|---|
受付時間/定休日 | 9:00〜18:00/土曜・日曜・祝日 |
電話番号 | 048-662-9175 |
公式HP URL | http://www.geo5.co.jp |