地中レーダの周波数の違いは何が変わるの?
地中レーダの周波数とは?
地中レーダは50MHz~4.5GHzの周波数範囲の電磁波を使って地中の埋設物のマッピングを行います。レーダ装置を移動しながら計測することで対象物との距離が変化しますが、それを波形として形状を捉える仕組みです。
地中レーダ波形は実際の対象物の形状とは異なるため、波動信号処理を行うのが有効です。周波数フィルタリングやマイグレーション、直流除去などの信号処理がありますが、これらを行わなくてもある程度の地中の構造は把握可能です。
周波数により計測の特性は変わります。周波数が低ければ波長は長くなり、減衰量は小さいですが分解能は低くなります。高い周波数帯では波長は短く減衰量は大きいですが。分解能は高くなります。
周波数によって計測可能な深度が変わる
電磁波は周波数が低い(波長が長い)ほど計測可能な深度は深くなります。これは波長が長いと減衰量が小さくなりますが、分解能は低くなるため、精密探査の精度が低くなります。
一方、周波数が高い(波長が短い)と高精度と高分解能探査が可能になりますが、減衰量が大きいので計測可能深度は浅くなります。AMラジオ(中波)は受信エリアが広い(遠くまで届く)代わりに音質は悪く、FM(超短波)は高音質ながら受信エリアが狭いのは同じ理屈です。
地中レーダ探索においてもこうした周波数による特性の違いを理解しておくことが重要。対象物が深深度なら低周波、浅深度なら高周波といったように用途に応じて使い分けをする必要があります。
物質の違いによる比誘電率も影響する
地中レーダで埋設物などの深度を求めるためには、物質により違う比誘電率も考慮する必要があります。比誘電率は真空中の誘電率との比を表します。比誘電率が高いと高周波信号が流れにくくなり波形がなまります。
発泡スチロールは比誘電率1ですが、ポリスチレンは2.4~2.7、一般的なコンクリートは6~8です。また含水率が高いと比誘電率も高くなります。コンクリートでも湿潤のものは比誘電率が8~20になります。
したがって対象となる埋設物の深度の正確性を高めるためには、物質の比誘電率を正確に求めなければなりません。地中レーダで得られたデータを読み解くには、こうした分析力が非常に重要になります。
地中レーダ探査はレーダの性能を把握して依頼しましょう
一口に地中レーダ探査といっても目的や用途により測定方法は異なり、地中レーダ計測機器や依頼先も選ぶことが必要です。どこでも同じではないのでレーダの性能や依頼する会社の実績なども把握しておくことが大切です。
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