トンネル覆工背面空洞調査
国内で管理されているトンネルの多くは1955年度から1973年度にかけての高度成長期に建設されています。 建設後50年以上経ったトンネルは、地山状況変化などによって空隙が生じることもあります。
本ページでは、効率的に空洞調査を実施できる地中レーダを用いた非破壊調査について解説します。 トンネル覆工背面空洞調査にはどのような地中レーダが適しているのかや、依頼すべきおすすめの建設コンサルティング会社について紹介しています。
トンネル覆工背面空洞調査に適した建設コンサルティング会社をすぐに見る
地中レーダ探査を行っている
建設コンサルティング会社
一覧を詳しく見る
トンネル覆工背面空洞調査に対応する
建設コンサルティング会社の選び方
地中レーダ探査は対応可能な会社がまだ少ないため、信頼できる会社に依頼することが大切です。 技術士やRCCMといった資格保有者が在籍していれば、適切な調査を実施してくれるでしょう。
トンネル覆工背面空洞には難しい面がありますが、異常箇所の見落としがないよう必要に応じて他の調査方法にも対応できる会社を選ぶようにしましょう。 本ページでは、トンネル覆工背面空洞調査に対応している会社の中から、公式HPに以下2つの条件が掲載されている会社を調査しています。
- ハンディ式地中レーダを保有
- 技術士またはRCCMの在籍
【特徴別】トンネル覆工背面空洞調査に対応する
建設コンサルティング会社3選
2022/4/20時点Googleにて「地中レーダ探査」「トンネル覆工背面空洞調査」と検索して表示された会社のうち、トンネル覆工背面空洞調査に対応している建設コンサルティング会社を調査しました。
調査に適した会社として、「ハンディ式地中レーダ両方を保有」「技術士・RCCMなどの資格保有者在籍」の項目を満たした会社を紹介しています。
物理探査で25年以上の実績
- ISO9001認証を取得するほどの高い技術力
- 地中レーダ探査を国土交通省とともに研究
における豊富な知見を誇る
- インバート変状調査も実施し、綿密な工事の計画が可能
- 土木業界のさまざまな調査にワンストップで対応
を使い分けて計測
- 地中探査、漏水調査、地質調査の総合コンサルタント
- 簡易ボーリング調査などを併せた複合調査も可能
トンネル覆工背面空洞調査に
求められる地中レーダの条件
トンネル覆工背面空洞調査は、クレーン車に搭乗してレーダを手持ちで計測するため、ハンディ式の地中レーダを使用します。
また周波数帯においては、覆工面から30cm~3m程度まで幅広い深度を計測することになるため、主に300MHz~1000MHz程度の幅広い周波数帯の地中レーダが採用されています。
しかしトンネル内部には地下水が多いため、電波の減衰量が多くなり、探査の難易度が高くなることがあります。こうしたケースでは、実際には存在する空洞を見落とすことがないよう、コア抜き背面調査を併用するなどして、調査精度を高めていく必要があります。
トンネル覆工背面空洞調査の目的
高度成長期において建設されたコンクリート建造物は、その多くが2010年以降に約50年の供用期間が経過します。
そのため補修・補強が必要である構造物が激増し、特にトンネルの変状は地形や地質条件下などといった外的な要因に加え、設計や施工上の内的要因も介在して発生すると考えられています。
さらに覆工背面に空洞が残存しており地盤反力が確保できないような場合、覆工コンクリート上にひび割れが発生してしまいコンクリート片が落下するなどといった第三者被害が生じることも少なくないでしょう。
そのうえ覆工背面の空洞が原因となり岩塊が堆積してしまい局所的に荷重が作用すると、覆工の突発的な崩壊を引き起こすおそれがあります。
目視点検や打音法では覆工表面の小さな空洞や剥離しか把握できず、覆工背面の空洞までを確認することは非常に困難です。そのため多目的レーダ計測システムを利用するなどしてトンネル覆工背面の空洞調査が実施されるのです。
トンネル覆工背面空洞調査の方法
非破壊検査(地中レーダ)
トンネル覆工背面空洞調査の方法は「非破壊検査」と「局所破壊検査」の2通りに大別され、ここではまず「非破壊検査」について解説していきます。
この「非破壊検査」で実用化されている手法としては電磁波法(地中レーダ)による覆工巻圧・空洞の有無・大きさの調査があります。この調査は覆工背面に空洞の存在を確認すると、覆工に発信したレーダ波が覆工コンクリートと空洞の境目に反射し、それを測定・解析することによって覆工背面の空洞を把握する方法となっています。
この方法を使うことにより、非破壊によって連続的にデータを取得することができるとともに、安全かつ正確な調査を行うことが可能になります。
局所破壊検査
局所破壊検査とは、簡易ボーリングによって覆工コンクリートの一部を削孔し、採取したコアの物性や劣化状況の調査をします。
削孔したボーリング孔を利用しながら覆工コンクリートや背面空洞の有無・背面地山がどのような状況にあるかを観察・把握します。
PVMシステム
H4PVMシステムはトンネルの壁面を覆うコンクリートと背面にある地山に対して、回転・打撃式油圧削岩機によって高速削孔を行うと同時に、得られた様々な計測データをリアルタイム収集・グラフ化して解析することで背面状況を調査するシステムです。
削孔パラメータにもとづいて機械データを視覚化することでデータ解析の精度を高めるとともに、コンクリートの厚さや地下水の存在といった条件に左右されず正確なデータ収集を行える点が特徴です。また、削孔径を小規模に抑えられるのでトンネルの構造への悪影響も抑えられます。
トンネル覆工背面空洞調査の実施フロー
トンネル覆工背面空洞調査を実施するためには、そもそもどのような調査方法を採用するべきか事前の調査や判定を行うなど、段階的な取り組みが必要になります。
トンネル調査・検討
トンネル覆工背面空洞調査として地中レーダを用いた非破壊検査を行うのか、削岩機やボーリングなどを活用する局所破壊検査を行うのか、まずそれぞれの調査方法の適性を検討しなければなりません。
そのためトンネル全体を目視点検や打音法などによって調査し、周辺の地政学的データと照らし合わせながら予測される状態や懸念されるリスクについて考えます。
調査方法の決定と計画
非破壊検査にするか局所検査を決定した後、トンネルの規模や調査範囲に対して適切な調査システムの選定と設置シミュレーションを実施します。
また実施日の作業手順についてのシミュレーションを行って計画書を作成し、情報を共有することが必要です。
調査実施とデータ解析
トンネル覆工背面空洞調査を実施すると共に収集したデータを解析して、トンネルの状況を診断します。またリスクやエラーが認められれば、続けて対策を検討するという流れです。
トンネル覆工背面空洞調査の事例
反射画像による空洞の判別が可能に
トンネル補修計画の設計を行うために必要な情報収集として、電磁波レーダ探査を利用して覆工背面の空洞の有無を調査した事例です。
電磁波レーダでは、電気的性質の異なる物質同士の境界面で反射するという電磁波の性質を利用しており、トンネルの内側から電磁波を当て、返ってきた電磁波データを波形として視覚化することでコンクリート背面の空洞の有無などを調べています。
非破壊で速やかにデータを得られる反面、属人性の高さが改善課題となりました。
地下レーダ探査による空洞の発見
電磁パルスを照射できるレーダ探査機を測定車に搭載し、トンネル内を測定車で移動しながら覆工背面空洞の測定を行った事例です。
測定車の地下レーダ装置はマルチチャンネル式となっており、油圧ブームの先端へレーダの送受信を行うアンテナを搭載して、ブームを伸張・回転させながらトンネルの測定箇所へ受信機を押し当てることで、測定車を走行させながら連続かつ高速でデータを測定することが可能となっています。
カナン・ジオリサーチ
物理探査で25年以上の実績
カナン・ジオリサーチの特徴
ISO9001認証を取得するほどの高い技術力
カナン・ジオリサーチは25年にわたり、物理探査によってあらゆる地下の状況を可視化してきた会社です。調査だけでなく、地中レーダ探査などの実績を基に自社独自の研究所を立ち上げ、調査の精度向上に向けて実証実験を重ねています。
2022年3月には、品質マネジメントシステムの国際規格であるISO 9001:2015の認証を取得しました※。
トンネル覆工調査においても地中レーダのほか、スコープやドリルなどを使い分け、高精度な調査を実施することが可能です。
地中レーダ探査を
国土交通省とともに研究
カナン・ジオリサーチは、社会インフラの適切な管理を推進すべく、国土交通省が先導して立ち上げた「インフラメンテナンス国民会議」の設立時からのメンバーとなっています。
自社専用の技術研究所を設け、まだ歴史が浅い地中レーダ探査の精度向上に向け実証実験を実施しています。老朽化問題が深刻化しているトンネルの効率的な調査のため、日々技術研鑽に努めています。
また、国内外問わず、展示会や学会発表にも参加しながら、自社で開発した技術を展開して、オープンイノベーションを推進しています。
カナン・ジオリサーチでの
トンネル覆工背面空洞調査事例
カナン・ジオリサーチのトンネル覆工背面空洞調査の事例は公式HPに掲載はありませんでした。
他の地中レーダ探査事例は下記リンクからご確認ください。
カナン・ジオリサーチの保有製品例
- 形状
- ハンディ式
- 周波数
- 記載なし
- チャンネル数
- 記載なし
- レーダ出⼒⽅式
- 記載なし
- 探査可能幅
- 記載なし
- 探査可能速度
- 記載なし
(トラックタイプ)
- 形状
- 車載式
- 周波数
- 3GHz~200MHz
- チャンネル数
- マルチチャンネル
- レーダ出⼒⽅式
- ステップ周波数
- 探査可能幅
- 2.1m程度
(複数走行により網羅) - 探査可能速度
- 80km/h
(車載タイプ)
- 形状
- 車載式
- 周波数
- 3GHz~200MHz
- チャンネル数
- マルチチャンネル
- レーダ出⼒⽅式
- ステップ周波数
- 探査可能幅
- 1.6m
(複数走行により網羅) - 探査可能速度
- 80km/h
(軽自動車タイプ)
- 形状
- 車載式
- 周波数
- 3GHz~200MHz
- チャンネル数
- マルチチャンネル
- レーダ出⼒⽅式
- ステップ周波数
- 探査可能幅
- 0.9m
(複数走行により網羅) - 探査可能速度
- 80km/h
(カートタイプ)
- 形状
- カート式
- 周波数
- 3GHz~200MHz
- チャンネル数
- マルチチャンネル
- レーダ出⼒⽅式
- ステップ周波数
- 探査可能幅
- 0.9m
(複数走行により網羅) - 探査可能速度
- 記載なし
カナン・ジオリサーチに
トンネル覆工背面空洞調査について問い合わせる
カナン・ジオリサーチの会社情報
所在地 | 愛媛県松山市今在家二丁目1番4号 |
---|---|
受付時間/定休日 | 9:00〜18:00/土曜・日曜・祝日 |
電話番号 | 089-993-6711 |
公式HP URL | https://canaan-geo.jp |
土木管理総合試験所
豊富な知見を誇る
土木管理総合試験所の特徴
インフラの非破壊探査を
多数手掛けた実績
土木管理総合試験所は、トンネル覆工探査をはじめとした幅広い地中レーダ探査を展開しています。トンネル劣化診断では、覆工背面の状況調査とともにインバート変状調査も実施しているため、綿密な補修工事を計画することが可能です。
ほかにも、ロードスキャンビークルによる路面下空洞調査、軌道下空洞探査システム、トンネル覆工探査、擁壁背面調査、護岸背面空洞調査など、3Dレーダやパルス方式地中レーダを使ったさまざまな調査を手掛けており、インフラの高寿命化に貢献しています。
土木業界のさまざまな
試験・調査にワンストップで対応
土・水・大気・構造物調査・測量設計に対するコンサルテーションを専門とする土木管理総合試験所。土木業界におけるさまざまな試験や調査を網羅しており、多岐にわたる分野の試験や調査にワンストップで対応可能であることを強みとしています。
また、インフラ調査・点検業界に特化したサービス「Brid-ci(ブリッチ)」を開発しました。
Brid-ciは、地域や業務内容などの条件を絞って、調査点検業務のパートナーを効率的に探すことができるシステムです。今後のインフラ調査・施工もまとめて依頼することが可能です。
土木管理総合試験所のトンネル覆工背面空洞調査事例
土木管理総合試験所のトンネル覆工背面空洞調査の事例は公式HPに掲載していませんが、種々の地中レーダ探査事例を掲載していますので、下記リンクからご確認ください。
土木管理総合試験所の保有製品例
(製品名不明)
- 形状
- ハンディ式
- 周波数
- 記載なし
- チャンネル数
- 記載なし
- レーダ出⼒⽅式
- 記載なし
- 探査可能幅
- 記載なし
- 探査可能速度
- 記載なし
ロードスキャンビークル
- 形状
- 車載式
- 周波数
- 記載なし
- チャンネル数
- マルチチャンネル
- レーダ出⼒⽅式
- 3Dレーダ方式
- 探査可能幅
- 2,100mm
- 探査可能速度
- 記載なし
土木管理総合試験所に
トンネル覆工背面空洞調査に
ついて問い合わせる
土木管理総合試験所の会社情報
所在地 | 東京都台東区上野 5-15-14 ONEST上野御徒町ビル5F(東京本社) |
---|---|
受付時間/定休日 | 8:20〜17:40/土曜・日曜・祝日 |
電話番号 | 03-5846-8387 |
公式HP URL | https://service.dksiken.co.jp/blog/31 |
地中エンジニアリング
使い分けて計測
地中エンジニアリングの特徴
地中探査、漏水調査、地質調査の総合コンサルタント
「地中探査の総合コンサルタント」を標榜する地中エンジニアリングでは、防空壕や路面下空洞、埋設管などを調査する「地中探査」、音聴調査や水圧調査といった手法を用いた「漏水調査」、ボーリングをはじめとする「地質調査」を行っています。
そうした調査の中で、もっとも得意とするのは地中探査です。創業から一貫して地中レーダ法の技術的発展と適応領域の拡大に努めており、土木・建設に関わる幅広い分野でサービスを提供しています。
各種物理探査と直接探査を
組み合わせた複合調査に対応
地中エンジニアリングが得意とする物理探査は、間接探査・非開削工法とも呼ばれる、掘削を伴わない調査です。電磁波や電気、磁気、地震波や弾性波、音波、放射能、地温や重力を地表で観測したデータを元に、地中の状況を推定。掘削を伴わないため、騒音や振動が発生せず、交通規制も不要。ポイントのみを調べる部分開削と違い、全面的な探査が可能なことも大きな利点です。
比較的多く手掛けているのは地中レーダを使った探査ですが、現場の状況よっては電磁誘導法や磁気探査、レイリー波探査も実施しています。必要に応じて簡易ボーリング調査などを併せた複合調査も行います。
地中エンジニアリングの
トンネル覆工背面空洞調査事例
地中エンジニアリングの地中レーダ探査事例は公式HPに掲載がありませんでした。
地中エンジニアリングの保有製品例
形状 | ハンディ式 |
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周波数 | 15MHzから2600MHz |
チャンネル数 | 公式サイトに記載がありませんでした |
レーダ出力方式 | 電磁波反射法 |
形状 | ハンディ式 |
---|---|
周波数 | 2700MHz |
チャンネル数 | 公式サイトに記載がありませんでした |
レーダ出力方式 | 電磁波レーダ方式 |
形状 | ハンディ式 |
---|---|
周波数 | 2700MHz |
チャンネル数 | 公式サイトに記載がありませんでした |
レーダ出力方式 | 電磁波レーダ方式 |
地中エンジニアリングに
トンネル覆工背面空洞調査について問い合わせる
地中エンジニアリングの会社情報
所在地 | 埼玉県さいたま市桜区田島5-19-8 |
---|---|
受付時間/定休日 | 公式HPに記載はありませんでした。 |
電話番号 | 048-844-1031 |
公式HP URL | https://www.chichu-eng.co.jp |
【PR】インフラの老朽化問題の解決のために開発された
3Dレーダ式地中レーダの活用レポート
道路の老朽化に伴う陥没事故の防止は日本の大きな課題となっています、特に近年、電柱の老朽化とともに無電柱化工事を推進している地方自治体も増えています。しかし、無電柱化工事前には、綿密な埋設管調査が必要とされており、配管の位置を正しく把握しないまま工事を進めると重大な事故に繋がることも。
そんな課題のために開発されたのが、カナン・ジオリサーチ立ち上げた会社「GPR.com」が開発した地中レーダ「GMS3 地中レーダ3次元モバイルマッピングシステム」です。本ページでは、実際にGMS3を導入して地中レーダ探査を実施している企業にその効果をインタビューしました。