和歌山エリアの地中探査事情
和歌山市・海南市の市街地や、有田市・御坊市・田辺市・新宮市などの河口部に広がる市街地では、厚い軟弱層と高い地下水位が重なりやすく、南海トラフ地震による揺れの増幅や液状化への関心が高いエリアです。
一方、こうした市街地では上下水道・ガス・電力・通信の埋設管が集中しており、掘削前の地下確認が欠かせません。工事前に地下の状況を把握しておくことが、事故や追加工事のリスクを抑えるうえで重要になります。
和歌山県で地中探査が必要とされる理由
和歌山市・県流域下水道ともに要対策区間が確認されたため
2025年1月に埼玉県八潮市で発生した大規模な道路陥没事故を受け、国は全国の下水道管路を対象とした特別重点調査を要請しました。
2026年4月に国土交通省が公表した結果では、和歌山県内の優先実施箇所として、和歌山市の約2.6km、県の流域下水道の約0.8kmが調査されています。このうち和歌山市では調査した約2.6kmのすべてが、県の流域下水道では約0.7kmが「緊急度Ⅰ」の要対策延長と判定されました。
空洞が確認された箇所はありませんでしたが、老朽化した管路への対策が求められている状況です。
また、和歌山市は、八潮市の事故直後から、国の緊急点検の対象外でありながら独自の判断で、幹線約90kmのマンホール点検と内部の詳細調査を実施しています。市の公共下水道は2023年度末時点で管渠延長が約870.9kmにのぼり、初期に整備された約84kmはすでに整備後50年を経過しています。
特別重点調査の対象は大口径の管路に限られます。市町村が管理する中小口径の下水道管や、水道管・ガス管の周辺に生じる空洞は別途確認が必要であり、道路下の状態を面的に把握する路面下空洞調査へのニーズは県内でも高まっています。
なお、県内の国管理道路では、レーダーによる路面下空洞調査がおおむね5年に1回の頻度で行われています。
参照元:国土交通省 下水道管路の全国特別重点調査の結果を公表します(https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/002015104.pdf)
南海トラフ地震への備えも求められるため
和歌山県地域防災計画によると、紀の川の河口付近や海南市の市街地付近では軟弱層が最もよく発達し、層厚は30mを超えます。
有田川・日高川の河口付近でも20mを超え、田辺港付近や富田川・日置川の河口付近では30mを超える軟弱層も確認。熊野川流域では、軟弱層のほとんどが粘性土で、厚さは20mを超えるとされています。
また、紀の川河口部や御坊など地盤がやや軟弱な場所では、周辺より揺れが強くなる可能性があると指摘されています。
南海トラフ沿いではM8クラスの地震が100〜200年程度の間隔で繰り返し発生しており、県地域防災計画でも、揺れが大きく地下水があり砂層が厚い平野部を中心に液状化の危険度が高くなるとしています。
軟弱地盤の上に敷設された埋設管は、地盤の沈下や地震時の変位によって施工当時の位置・深さから変わっていることがあります。
管のずれや継手の損傷部から土砂が流出すると道路下に空洞ができるおそれもあるため、河口部の市街地では、掘削前や定期点検の段階で地下の状態を把握しておくことが重要です。
参照元:地震調査研究推進本部 和歌山県の地震活動の特徴(https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_kinki/p30_wakayama/)
台帳の確認先が分かれるため
和歌山県の下水道処理人口普及率は30.9%(2025年度末)で、全国平均の82.6%を大きく下回り、全国46位にとどまっています。
県内では公共下水道のほか、紀の川流域下水道、農業集落排水施設、合併処理浄化槽などを組み合わせて汚水処理が行われており、地域によって地下にある施設の種類や管理者が異なります。
たとえば、橋本市・かつらぎ町・九度山町や紀の川市・岩出市では、幹線管路を県が、そこにつながる管路を各市町が管理しています。
県管理道路の占用は各振興局建設部、国道は国土交通省の各事務所、市町村道は各市町村と、道路の窓口も分かれます。
工事前には下水道台帳、水道管の図面、道路台帳などの公的資料を確認しますが、これらは地下の状況をすべて保証するものではありません。
過去の工事や道路改良、建物解体、浄化槽の撤去・切り替えなどにより、図面と実際の埋設状況が異なる場合もあるため、対象地ごとに確認先を整理したうえで、地中探査で現地の状況を確認することが重要です。
参照元:和歌山県 流域下水道の概要(https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/081000/shin/ryuiki.html)
和歌山県で地中探査の対象になりやすいもの
和歌山県で地中探査の対象になりやすいものは、河口部の低地・河岸段丘・海岸沿い・山地の造成地など現場の立地によって変わります。主な対象物は以下の通りです。
| 対象物 | 確認が必要になる主な場面 |
|---|---|
| 水道管・下水道管・ガス管 | 和歌山市・海南市などの市街地での道路掘削、管路更新、外構工事、建物新築 |
| 電力管・通信管 | 道路改良、電線共同溝、工場・港湾施設のインフラ更新工事 |
| 道路下空洞 | 路面沈下・陥没リスクの確認、道路維持管理、老朽管路周辺の確認 |
| 浄化槽・農業集落排水施設の管路 | 下水道への接続・切り替え工事、建物の解体・建替え、土地売買前の確認 |
| 残置杭・既存基礎・地下躯体 | 市街地の建替え、工場・倉庫の解体後の新築工事 |
| 埋設ガラ・地下障害物 | 旧市街地、臨海部の工場跡地、造成地、土地売買前の確認 |
| 軟弱地盤・地下水に関連する変状 | 紀の川・有田川・日高川・富田川などの河口部の低地での基礎工事、盛土・造成地の確認 |
| 遺跡・埋蔵文化財 | 周知の埋蔵文化財包蔵地での開発行為、発掘調査範囲の絞り込み |
| 推進工事・管路更新の前後の地下状況 | 工事の影響による空洞の有無を、着手前と完了後で比較して確認する場合 |
特に、和歌山市の臨海部や旧市街地では、過去の建物やインフラに由来する地下障害物が残っている場合があります。
現在の図面だけでは把握できないケースもあるため、計画初期の段階で地中探査を検討するとよいでしょう。
また、周知の埋蔵文化財包蔵地で土木工事を行う場合は、文化財保護法第93条に基づき、着手の60日前までに市町村の文化財担当部署を通じて届出を行う必要があります。
包蔵地の範囲は、県がWeb上で公開している「和歌山県埋蔵文化財包蔵地所在地図」で確認しましょう。
和歌山県の地盤・地形の特徴
和歌山県では、ほぼ紀の川に沿って中央構造線が東西に走り、その北側に和泉山脈、南側に紀伊山地が広がっています。紀の川沿いを除くと平野に乏しく、各河川の河口付近や海岸沿いに狭い平野が形成されています。
日高地方以南の海岸では海岸段丘がよく発達しており、低地・段丘・山地が短い距離で入れ替わるのが特徴です。
このため、和歌山県で地中探査を行う際は、県内を一括りにせず、対象地の成り立ちや周辺環境を踏まえることが大切です。
- 和歌山平野(紀の川下流・和歌山市):紀の川が運んだ堆積物からなる沖積平野で、河口付近では軟弱層が30mを超える。地下水位が高く、液状化や揺れの増幅への注意が必要
- 海南市の市街地:紀の川河口付近と並んで軟弱層が最もよく発達する地域で、層厚は30mを超える
- 紀の川中流の河岸段丘(紀の川市・岩出市・橋本市など):粉河付近を中心に県内で最も規模の大きい河岸段丘が分布。段丘面は比較的安定するが、段丘崖や谷部、造成地では盛土や地下水の確認が必要
- 有田川河口部(有田市など):河口付近で軟弱層が20mを超え、上流に向かうにつれ薄くなる
- 日高川河口部(御坊市など):河口付近を中心に軟弱層が20mを超え、揺れが周辺より強くなる可能性が指摘されている
- 田辺市・白浜町周辺(左会津川・富田川・日置川の河口部):田辺港付近や各河口で層厚30mを超える軟弱層が分布する
- 熊野川河口部(新宮市):軟弱層のほとんどが粘性土で、厚さは20mを超える
- 紀伊山地・海岸段丘:急傾斜地が多く、切土・盛土、斜面地、造成履歴、地下水の影響を個別に確認することが重要
なお、河口部の低地では、軟弱な粘性土が厚く地下水位も高いことから、地盤沈下や地震時の変位によって埋設物の状態が変わることがあります。
いずれも地表からは判別しにくいため、旧地形図や土地利用履歴の確認と併せて、地下の状況を把握しておくことが有効です。
和歌山県で用いられる地中探査の主な方法
地中探査を行う場合、調査方法は
- 何を探すのか
- どの深さまで確認するのか
- 地下水や土質の影響を受けやすい場所か
によって変わります。
埋設管の位置把握や道路下空洞の確認では、非破壊で広範囲を効率よく調べられる地中レーダー探査が中心的な手法です。
紀の川中流の河岸段丘や市街地の盛土部など、砂礫質で地下水位が比較的低い場所では電磁波が通りやすく、浅部の埋設物の把握を効率よく進めやすい条件といえます。
紀の川河口部や海南市、田辺市・新宮市などの河口部のように、粘性土が厚く地下水位も高い場所では電磁波が減衰しやすいため、探査深度に応じたアンテナ周波数の選定、3次元計測による面的なデータ取得、解析処理の作り込みが結果の精度を左右します。
こうした条件では機器仕様と解析体制によって得られる情報の細かさに差が出るため、現場条件に合った探査設計ができる会社に相談するとよいでしょう。関係機関への照会や、必要な範囲の試掘まで含めて調査計画全体を設計できるかも確認したいポイントです。
和歌山県で地中探査前に確認したい公的情報・連絡先
和歌山県で地中探査を依頼する前には、対象地の管理主体が公開している台帳・図面を確認し、必要な連絡先を整理しておくと、調査範囲や注意点をつかみやすくなります。道路は「誰が管理する道路か」で問い合わせ先が分かれる点に注意が必要です。
| 確認したい情報 | 主な確認先・連絡先 |
|---|---|
| 国管理の国道24号・26号・42号(和歌山市〜日高町)、京奈和自動車道 | 国土交通省 近畿地方整備局 和歌山河川国道事務所 |
| 紀南地域の国管理の国道42号 | 国土交通省 近畿地方整備局 紀南河川国道事務所(0739-22-4564) |
| 県管理道路に関する全般的な問い合わせ | 和歌山県 県土整備部 道路局 道路保全課(073-441-3110) |
| 海草地域の県管理道路の占用 | 海草振興局 建設部 管理保全第一課(073-488-5771) |
| 那賀地域・伊都地域の県管理道路の占用 | 那賀振興局 建設部 管理保全課(0736-63-0100)/伊都振興局 建設部 管理保全課(0736-34-1700) |
| 有田地域・日高地域の県管理道路の占用 | 有田振興局 建設部 管理保全課(0737-63-4111)/日高振興局 建設部 管理保全課(0738-22-3111) |
| 西牟婁地域・東牟婁地域の県管理道路の占用 | 西牟婁振興局 建設部 管理保全課(0739-22-1200)/東牟婁振興局 串本建設部 管理保全課(0735-62-0755)・新宮建設部 管理保全課(0735-22-8551) |
| 市町村道の道路台帳・道路占用 | 各市町村の道路担当課 |
| 紀の川流域下水道(伊都処理区・那賀処理区)の施設・近接協議 | 和歌山県 県土整備部 河川下水道局 下水道課(073-441-3200) |
| 公共下水道台帳・農業集落排水施設 | 各市町村の下水道・農業集落排水の担当課 |
| 水道管・給水装置図面 | 各市町村の水道事業者(和歌山市は和歌山市企業局) |
| 周知の埋蔵文化財包蔵地の該当有無・発掘届出 | 各市町村の文化財担当部署/和歌山県 教育庁 生涯学習局 文化遺産課(073-441-3731)。包蔵地の範囲は「和歌山県埋蔵文化財包蔵地所在地図」で確認可能 |
| 道路上での作業可否・交通規制 | 所轄警察署(道路使用許可)、道路管理者(道路占用許可)、関係する占用企業者 |
公道上で調査する場合は、道路管理者への確認に加え、作業内容や交通への影響によって道路使用許可が必要になります。県管理道路の占用許可は標準処理期間が原則2〜3週間とされており、添付書類も占用の種類によって異なるため、調査日程に余裕を持って各振興局の窓口へ相談しておきましょう。
参照元:和歌山県 道路占用許可申請(https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/080300/sinsei/senyu.html)
参照元:国土交通省 近畿地方整備局 和歌山河川国道事務所 道路事業の概要(https://www.kkr.mlit.go.jp/wakayama/pdf/gaiyo/r6-road.pdf)
参照元:和歌山県 流域下水道の概要(https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/081000/shin/ryuiki.html)
和歌山県で地中探査会社を選ぶポイント
和歌山県で地中探査会社を選ぶ際は、「和歌山県対応」と記載されているかだけでなく、対象地の地域特性に対応できるかを確認することが大切です。和歌山市・海南市などの河口部の市街地、紀の川中流の河岸段丘、紀南の河口部や海岸沿い、山地の造成地では、調査で重視すべきポイントが異なります。
- 河口部の軟弱地盤、河岸段丘、臨海部、造成地など、対象地と同じ地形区分・現場条件での調査実績があるか(県内実績に限らず、全国での同種案件の蓄積も判断材料になります)
- 埋設管、道路下空洞、遺跡・埋蔵文化財、残置杭・既存基礎、地下障害物など、調査目的に合った対応ができるか
- 地中レーダー探査の機器性能や解析力(3次元計測、地上と地下のデータの一元化など)が現場条件に見合っているか
- 主力手法の適用範囲を明示したうえで、必要な場合に他手法や試掘を組み合わせた調査計画を提案できるか(すべてを自社で行うかより、目的に対して過不足のない計画を組めるかが判断軸になります)
- 管路更新や推進工事の前後で、着手前・完了後の状況を比較できる形で記録・報告できるか
- 公的図面や現地状況を踏まえ、調査範囲や探査方法を提案できるか
- CAD図、3次元データ、写真台帳、探査結果図、報告書など、施工判断に使いやすい成果物を提出できるか
- 道路上作業、交通規制、行政協議、占用企業者との調整に対応した経験があるか
地中探査の結果は、掘削位置の調整、施工計画の見直し、設計変更、関係者協議に使われます。そのため、調査を実施するだけでなく、和歌山県内の地域特性や行政手続きも踏まえて、工事関係者が判断しやすい形で報告できる会社を選ぶことが重要です。
和歌山県で地中レーダー探査会社を探すなら
和歌山県で地中探査を検討する際は、まず対象地が河口部の低地(紀の川・有田川・日高川・富田川・熊野川など)、河岸段丘(紀の川中流)、海岸沿い・臨海部、山地・造成地のどれに該当するのかを整理しましょう。そのうえで、公的図面や台帳を確認し、調査対象が埋設管なのか、道路下空洞なのか、残置杭・地下障害物なのかを明確にしておくと、適した調査会社を選びやすくなります。
「どの会社に相談すればよいかわからない」という場合は、対応エリア、調査対象、得意分野、成果物の内容、行政協議への対応経験を比較して選ぶことが大切です。次のページでは、おすすめの地中レーダー探査会社3選もあわせて確認できます。
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